安藤さんとの印象的なエピソードを1つ話します。
ある日、久松史奈がトリを務めるイベントがあり、僕はオープニングアクトのZ-BACKというバンドのFOHを担当しました。僕がそのPAをしていると安藤さんが後ろで聴いていて、「なんかさ、どうしたの? 気ぃ使ってる?」って僕に言ってくるんです。僕は「そりゃ、オープニングアクトですから」ということで音量も抑えめにやっていたのがバレていたんですね。安藤さんは「プロダクションは小松くんにギャラを払っているわけでしょ? 思いっきりでかい音出して、このアーティストを表現しなくてどうすんの! お前のやってる音楽はロックだろ!」って怒られ、僕は「ハッ」と気付いたんです。
次の日から僕は思いっきりやることにし、表現することの楽しさを改めて感じました。「ロックンロールっていったい何か?」ということを安藤さんに教わったんです。
Sさん同様に、安藤さんの存在がなかったら僕の音響人生はなかったかもしれません。この業界において、そういう先に引っ張ってくれる人と巡りあえるかどうか。それがその人の運命を左右すると思います。